口腔由来偏性嫌気性グラム陰性桿菌が保有するβ-lactamase遺伝子に関する研究

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タイトル別名
  • Examination of the β-lactamase gene of an obligate anaerobic Gram-negative rods isolated from the human oral cavity
  • コウクウ ユライ ヘンセイ ケンキセイ グラム インセイ カンキン ガ ホユウスル v lactamase イデンシ ニ カンスル ケンキュウ

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抄録

歯性感染症には口腔内の偏性嫌気性グラム陰性桿菌(Obligate anaerobic Gram-negative rod,以下OGNR)が関与する.治療にはβ-lactam薬が頻用されるが,耐性菌の存在は難治化の一因である.本研究では,歯性感染症における口腔由来OGNRのβ-lactam薬耐性機序を解明するため,β-lactamase遺伝子の検出,解析および発現を試みた.成人男性より唾液を採取し,嫌気培養,グラム染色,酸素感受性,β-lactamase産生性,最小発育阻止濃度測定にてβ-lactamase産生・β-lactam薬耐性・OGNRを選択後,同定した.β-lactamase遺伝子保有は,9種のβ-lactamase遺伝子のプライマーでPCRを行って調べた.PCR産物の塩基配列を決定後,データベース上の配列と比較した.さらにPCR産物を大腸菌に導入し,発現を調べた.供試菌は7菌種が同定され,口腔由来β-lactamase産生・β-lactam薬耐性OGNRは多菌種存在することが示された.CfxA2でのPCRでは供試菌すべてでPCR産物が得られ,既報のβ-lactamase遺伝子と高い相同性を示した.他の各プライマ一では1〜10株で検出された.形質導入ではいずれも発現しなかった.PCR産物が得られ,塩基配列が既報β-lactamase遺伝子と高い相同性を示したことは,PCR産物が供試菌のβ-lactamase遺伝子で,多種存在することを示唆している.1株中に複数のβ-lactamase遺伝子も存在し,組み換えで新たなβ-lactamaseが生じる可能性が示唆された.形質導入では,プロモーターやレシピエントの不具合が考えられ,口腔由来OGNRのβ-lactamase遺伝子は本菌群に広く存在する一方,本菌群以外の菌種では発現しない可能性が示唆された.

収録刊行物

  • 歯科医学

    歯科医学 71 (1), 10-20, 2008

    大阪歯科学会

参考文献 (51)*注記

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