原発性肺癌切除例における他臓器重複癌の検討

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タイトル別名
  • A Clinical Study on Multiple Primary Cancers in Cases of Resected Lung Cancer

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抄録

目的.肺癌切除例における重複癌の存在が予後に及ぼす影響について,その臨床的特徴を含めて検討した.方法.1996年1月~2005年12月までに当院にて施行された肺癌手術症例731例中,重複癌を認めた101例(13.8%)を対象とした.臨床的特徴及び予後は多重癌を認めない619例と比較検討した.結果.重複癌は胃癌,大腸癌,乳癌,子宮癌,頭頸部癌などが多く,肺癌単発例と比較して年齢・性別・組織型・分化度・病理病期に有意差を認めなかった.重複悪性腫瘍別の検討では,頭頸部癌・食道癌合併例に肺扁平上皮癌が多く,乳癌・子宮癌・甲状腺癌・前立腺癌合併例に肺腺癌が多い傾向を認めた.重複癌症例での肺癌術後の5年生存率は59.4%で,肺癌単発例の71.3%に対して有意に低かった.同時性・異時性別の5年生存率は,各々57.5%,65.6%で特に同時性で予後不良の傾向にあった.重複癌死亡例を検討すると,肺癌死12例(42.9%),他癌死6例(21.4%)であった.結論.肺癌手術例において重複癌,特に同時性のものは予後不良因子の1つであり,術前・術後の消化管を含めた全身検索が重要と考えられた.<br>

収録刊行物

  • 肺癌

    肺癌 48 (1), 33-38, 2008

    特定非営利活動法人 日本肺癌学会

被引用文献 (10)*注記

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参考文献 (27)*注記

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