神経因性膀胱70症例についての治療経過の検討

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  • CLINICAL EVALUATION ON TREATMENTS IN 70CASES OF NEUROGENIC BLADDER

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抄録

過去3年間に当科で経験した神経因性膀胱70症例につき治療経過を中心に検討を加えた. 対象の年齢は13歳から87歳 (平均58.4歳), 男女比2.2:1で, 発症後6カ月以上経過していた例が約半数を占めた. 神経因性膀胱の分類は, 脳膀胱16例, 脊髄膀胱25例, 末梢神経障害膀胱21例, その他および不明8例であり, 原因疾患は骨盤内手術, 脳血管障害, 脊髄損傷の順に多かった. 初診時の泌尿器科的合併症は, 尿路感染27例, 前立腺肥大症12例, 腎機能障害および尿道カルンクルス各3例などで, その他61%に残尿を認めた. 膀胱内圧曲線の分類は, 弛緩型膀胱48例 (69%), 正常型7例, 無抑制膀胱6例, 痙性膀胱5例, いわゆる抑制膀胱と無緊張性膀胱各2例であった. 治療法は保存療法単独63例 (90%), 手術療法併用7例 (10%) で, 保存療法では薬物療法を69例に施行し, 残尿のみられた例では, 自己導尿を主体とする間歇的導尿を30例に併用した. 手術はTUR-P 5例, 膀胱瘻造設2例で, うち1例に Lapides' cutaneousvesicostomy を施行した. 間歇的導尿例の平均残尿量は治療前205ml, 治療後84ml, 平均残尿率は治療前56.5%, 治療後28.9%で共に有意 (p<0.001) の改善を認めた. また, 薬物療法と間歇的導尿法でカテーテルフリーとなったものは13例 (43%) で, 保存療法単独でも残尿の減少と尿路感染の消失に有効であったが, カテーテルフリーを目標とすれば十分な成績とはいえなかった.

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