1231 用手的呼吸介助手技が代謝機能に及ぼす効果について : 経時的変化に着目して(内部障害系理学療法,一般演題(ポスター発表演題),第43回日本理学療法学術大会)

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抄録

【目的】用手的呼吸介助手技(以下,呼吸介助)は呼吸理学療法の主要な手技のひとつである.その効果として換気量の増大,酸素化の改善,横隔膜活動の促通など,有効性を支持する報告が多い.また代謝に着目した報告も見られるが,呼吸介助時の効果の言及に留まっている.そこで今回,呼吸介助による換気代謝機能への効果を呼吸介助終了以降も経時的に観察し,効果の持続について検討したので報告する.<BR>【方法】被験者は健常成人男性7名(平均年齢27.4±5.4歳,身長171±4.5cm,体重62.9±4.6kg)とし,事前に研究の趣旨を説明し協力の同意を得た.方法は,被験者を仰臥位にし,十分な安静の後に3分間の安静呼吸(以下,安静期間)を測定し,その後用手的に下部胸郭介助を5分間施行(以下,呼吸介助期間).さらに終了後3分間の安静呼吸(以下,回復期間)を行わせた.なお,呼吸介助は手技に熟練した同一理学療法士が行った.この期間中,呼気ガス分析装置(ミナト医科学製AE-300S)を用い,breath-by-breath方式にて測定した.用いた指標は一回換気量(以下,TV),酸素摂取量(以下,V(dot)O<SUB>2</SUB>)とした.得られた測定値は20秒毎に平均算出し,安静期間の測定値を安静値,回復期間の測定値を回復値とし,これらを対応のあるt検定を用いて統計処理を行った.有意水準は5%未満とした.<BR>【結果】TVは全被験者ともに呼吸介助期間の初期に急速に増加し,高値を推移した.回復期間では速やかな減少の後には安静期間と同程度に推移した.安静値は平均584.7±21.2ml,回復値は平均615.7±133.2mlで,有意な差は見られなかった.V(dot)O<SUB>2</SUB>も呼吸介助期間の初期に急速に増加したが,開始20秒後に最大値を示した後に徐々に低下する傾向にあった.回復期間ではさらに減少が見られ.回復値の平均145.3±12.0 ml/min/kgは,安静値の平均207.2±16.4ml/min/kgに比して,有意な差が見られた.<BR>【考察】呼吸介助期間では,TVは高値を推移していたが,V(dot)O<SUB>2</SUB>は初期に増加した後に徐々に減少した.これは,開始直後は自発的な吸気筋活動を要求されて,酸素消費量が増加したが,徐々に胸郭の弾性を利用した受動的な吸気運動へ移行したため,吸気筋の活動が低下し,呼吸筋の酸素消費量が減少した結果と考える.また,回復期間では,TVは安静期間と同程度に推移したが,V(dot)O<SUB>2</SUB>は安静期間より低値を推移した.これは,呼吸介助により呼吸中枢の換気ドライブが亢進し,横隔膜活動が促通され,より効率的な吸気筋活動への移行により,酸素消費量が減少したものと考える.このように呼吸介助終了後は,換気的効果は持続しないが,代謝的効果は数分間持続することが明らかとなった.

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