Dyjoc Board Plusの治療応用

DOI

Bibliographic Information

Other Title
  • 慢性疼痛疾患の疼痛と柔軟性に与える効果検証

Search this article

Abstract

【目的】<BR> 視覚フィードバックを利用した神経筋協調訓練の効果に対する研究は少なく、対象を整形外科的な慢性疼痛疾患とした研究は皆無である。そこで、我々は視覚フィードバックを特徴とした酒井医療株式会社製Dyjoc Board Plusを用いた体幹自動運動が、慢性疼痛疾患の疼痛および脊柱・骨盤周囲の柔軟性に対して効果を有すると考え、本実験にてその内容に関する効果検証を行ったので報告する。<BR>【方法】<BR> 対象は慢性疼痛疾患にて当院で運動療法を実施している者から部位別に無作為で選択した113名、男性51例、女性62例、平均年齢は39±19歳であった。内分けは腰部21例、頸部11例、肩関節16例、肘関節10例、手関節14例、股関節15例、膝関節15例、足関節11例である。対象者には本研究の趣旨を説明し同意を得た。Dyjoc Board Plusでは不安定板の傾斜方向・傾斜程度を表すマーカーがコンピュータ画面の円上に即時表示され、視覚フィードバックを用いた神経筋協調訓練ができる。本実験では不安定板上端座位となり両足底接地した状態から、画面上にターゲットを表示し、それにマーカーを到達させるよう体幹自動運動を実施させた。ターゲットは上下・左右方向、時計回り・反時計回りに各5回ずつ無作為に動くよう設定した。疼痛評価は実施前運動時痛を10と規定し、痛み変化なしを10、全く痛みなしを0として実施後に変化を計測した。柔軟性評価は実施前後での指床間距離(以下FFD)を用いた。統計学的処理は対応のあるt-検定を用い、有意水準は5%未満とした。<BR>【結果】<BR> 疼痛では腰部・頸部・肩関節・股関節・膝関節・肘関節(p<0.01)、足関節 (p<0.05)において実施前に比較して実施後に有意に低値を示した。手関節のみ疼痛に有意差を認めなかった。FFDでは体幹自動運動実施前3.6±9.6cm、実施後5.6±9.3cmと有意に高値(p<0.01)を示した。<BR>【考察】<BR> 慢性疼痛には体性-自律神経反射が関与しており、疼痛回避するための代償・補償運動の姿勢制御機構由来の筋緊張亢進と、代償・補償運動に起因した体幹の関節機能障害由来の筋緊張亢進が、自律神経の交感神経活動異常と複雑に絡み合い、痛みを形成しているとの報告がある。Dyjoc Board Plusでは視覚と体性感覚を協調することで代償、補償運動の姿勢制御機構から開放され、その環境下での体幹自動運動により体幹の関節機能障害を改善して患部周囲の筋緊張を緩和させることができると考えられる。本実験の結果よりDyjoc Board Plusによる体幹自動運動は手関節以外の疼痛軽減、FFD向上といった効果を有しており、慢性疼痛疾患の疼痛と柔軟性に対する運動療法の一手段として有用であると示唆された。<BR>

Journal

Details 詳細情報について

Report a problem

Back to top