飼育下チンパンジーの子育て困難 : 人工哺育は回避可能か
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抄録
飼育下チンパンジーの出産、子育て状況をGreat Ape Information Network(GAIN)データベースをもとに分析した。これまで、飼育下チンパンジーの育児放棄、子育て困難の原因として、早期に母子分離を経験し、社会的隔離状態に置かれたことが指摘されてきた。しかし、今回の分析から、母子分離も社会的隔離も経験していない個体においても同様に子育てが困難であることが見られた。野生のチンパンジーに比べ出産間隔が短く、結果として授乳期が短い事例も見られた。多摩動物公園の事例では、子育て行動は見られるものの、母乳の分泌不足が原因で人工哺育に至る場合もあった。今後は繁殖の候補の選択にあたっては、母子分離の時期、飼育環境、出産歴といったプロフィールに加え、母乳の分泌に関する生理学的な検証を含んだシステムの構築が求められる。
収録刊行物
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- 日本獣医生命科学大学研究報告 = Bulletin of Nippon Veterinary and Life Science University
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日本獣医生命科学大学研究報告 = Bulletin of Nippon Veterinary and Life Science University (56), 28-35, 2007-12
日本獣医生命科学大学
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1050001338699629824
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- NII論文ID
- 110006978408
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- NII書誌ID
- AA12319286
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- ISSN
- 18827314
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- 本文言語コード
- ja
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- 資料種別
- journal article
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- データソース種別
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- IRDB
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