コラーゲンハイドロゲル-スポンジ複合体のスキャフォールドとしての有効性とBMP併用による骨増生

  • 得永 佳介
    北海道大学大学院歯学研究科口腔健康科学講座歯周・歯内療法学教室
  • 菅谷 勉
    北海道大学大学院歯学研究科口腔健康科学講座歯周・歯内療法学教室
  • 宮治 裕史
    北海道大学大学院歯学研究科口腔健康科学講座歯周・歯内療法学教室
  • 川浪 雅光
    北海道大学大学院歯学研究科口腔健康科学講座歯周・歯内療法学教室

書誌事項

タイトル別名
  • Biological Effects of Collagen Hydrogel-sponge Composite Scaffold and Osteoinduction by Combined Application with BMP

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抄録

本研究の目的は,コラーゲンハイドロゲル-スポンジ複合体を作製後,ラット頭蓋骨窩洞に埋植し,スキャフォールドとしての有効性と,BMPを併用した場合の効果を組織学的に検討することである.コラーゲンハイドロゲル-スポンジ複合体は,4%の線維化アテロコラーゲン-熱変性アテロコラーゲン複合体(FC-HAC)スポンジ(6×6×3mm)に,アスコルビン酸-銅で架橋した1.5%コラーゲンハイドロゲルを十分に浸透させて作製した.次にラットに全身麻酔下で頭蓋骨窩洞(4×4×0.5mm)を形成し,その後移植材料によって5群に分けた.BGS群ではBMP-2を含有させたコラーゲンハイドロゲル-スポンジ複合体を骨窩洞に移植した(n=18).GS群ではコラーゲンハイドロゲル-スポンジ複合体を(n=19),BS群ではBMP-2を含有させたFC-HACスポンジを(n=17),S群ではFC-HACスポンジをそれぞれ移植した(n=17).C群では何も移植しなかった(n=16).組織標本は術後5,10,15日目に作製し,組織学的観察および計測を行った.その結果,BGS群,GS群では残存するコラーゲンハイドロゲル-スポンジ複合体内に線維芽細胞様細胞や骨芽細胞様細胞の侵入増殖が認められ,コラーゲン複合体周辺にはわずかな炎症性細胞浸潤がみられた.15日後においてBGS群で顕著な新生骨形成が観察され,新生骨面積,および新生骨高さはほかの4群と比べて有意に大きい値であった(p<0.01).またGS群でもC群に比較して有意に多く新生骨が認められた(p<0.01).BGS群の残存スポンジ面積(p<0.01)および高さ(p<0.05)はS群に比較して有意に減少していた.以上のことから,FC-HACスポンジにコラーゲンハイドロゲルを含浸させることによって,細胞侵入性と組織への置換性,再生スペースの確保に有効で,さらにBMPを併用することで新生骨量を増加できるスキャフォールドになることが示唆された.

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参考文献 (31)*注記

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