antaragngaに関する二つの解釈規則

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  • Two paribhasas on antaranga

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抄録

パーニニ文法家は,『アシュターディアーイー』(Astadhyayi)において規定されている規則あるいは操作の適用順序を決定するためにantaranga-bahirangaという概念を用いる.antarangaとは先に導入される要素を根拠(nimitta)とする操作あるいは規則であり,bahirangaとは後で導入される要素を根拠とする操作あるいは規則である.antarangaはbahirangaに対して優先適用される.このことを規定した解釈規則が二種パーニニ文法家によって提案されている.(AP)「antarangaが適用されるべきとき,bahirangaの適用はまだ成立していない」(asiddham bahirangam antarange)(BP)「antarangaはbahirangaより強力である」(antarangam bahirangad baliyah)パタンジャリは,これらのうちBPの必要性を否定している.彼の否定の根拠は何か.それを明らかにするのが本稿の目的である.BPはantarangaとbahirangaが同時に適用可能なときにのみ,antarangaが優先適用されることを規定する解釈規則である.二つの操作が同時に適用可能であるということはそれらの根拠が同時に存在しているということを意味するが,それら根拠となる要素導入の同時性は意味しない.APは,先に導入される要素を根拠とする操作(antaranga)が先に適用可能となり,あとで導入される要素を根拠とする操作(bahiranga)があとで適用可能となることを規定する.もしBPの適用環境においてもこのAPの適用条件が見いだされるならば,APによって規則適用の優先性が決定されるであろう.これがパタンジャリがBPの必要性を否定する論理である.ナーゲーシャは彼の『パリバーシェーンドゥシェーカラ』においてこの論理を見事に解明している.

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