感受性ならびに屋外採集のチャバネゴキブリに対するホウ酸製剤の効果比較

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タイトル別名
  • Insecticidal efficacy of several boric acid formulations against the German cockroach, Blattella germanica

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抄録

感受性ならびに抵抗性を獲得していると思われるチャバネゴキブリに対してホウ酸(原末)を1m^2あたり400mg以上処理するか0.4%以上の水溶液を飲み水として与えると,その効果は確実でしかも早期に現れた.ホウ酸の原末に米ぬかや粉砂糖を添加するとその効果はいくらか増強した.他方,錠剤(0.4%)やジェル剤(0.8%)の効果は原末の処理に比べて劣った.チャバネゴキブリは,ホウ酸原末の上を歩行したり,付属肢を床面に接触させたりすることによってホウ酸が体表に付着し,身づくろいによって摂取するものと思われる.ホウ酸溶液を試験容器内(arena)に噴霧したときやベニヤ板製の隠れ家に処理したときの効果は不十分であった.これは,ホウ酸の水溶液を残留噴霧したり,ホウ酸溶液に隠れ家を浸漬したりして,そのまま放置すると乾燥に伴いホウ酸が固く結晶し,ゴキブリが歩行したときに付着されにくく,また,身づくろいで摂取することが難しいためと判断された.レストランの厨房の隙間に12%ホウ酸の粉末エアゾールを噴霧した場合,その効果は2ヶ月以上持続した.ホウ酸は原末で処理されると極めて有効であることを確認した.ホウ酸が微粒子状に散布できる製剤は,有機燐剤やベイト剤に抵抗性を獲得したチャバネゴキブリ駆除にも有用であると思われる.

収録刊行物

  • 衛生動物

    衛生動物 59 (4), 273-281, 2008-12-15

    日本衛生動物学会

参考文献 (20)*注記

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