熱帯海草藻場におけるホソスジヒバリガイの幼生加入過程

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  • Larval Recruitment of the Tropical Mussel Modiolus philippinarum (Bivalvia: Mytilidae) in Seagrass Beds

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抄録

ホソスジヒバリガイは沖縄本島では主として海草藻場に生息し,隣接する海草のない区域にはほとんど見られない。この海草藻場内外のホソスジヒバリガイの密度差が形成され維持される機構を解明するために,沖縄本島の金武湾の海草藻場内外に定点を設け,各成長段階(浮遊幼生,海底稚貝,小型個体,大型個体)の密度の変動を1年間にわたって調査した。海草藻場内外のホソスジビバリガイの密度差は,浮遊幼生を除いて,各成長段階において統計的に有意であった。ホソスジビバリガイの殼長頻度分布に基づくコホート解析の結果によれば,浮遊幼生は主として7月〜8月に着底し,着底後1年で約20mmにまで成長する。着底直後の死亡率は著しく高いが,殼長約300μmを越す小型個体の死亡率は低くなり,ほぼ一定となる。これらの事実は,その具体的な詳細は未解明であるが,海草藻場内のホソスジヒバリガイの大型個体の密度は着底直後の死亡率の高低によって決定されており,また海草藻場内外の密度差は着底稚貝の段階において決定されていることを示している。

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