森林土壌の破壊・非破壊培養における炭素無機化特性

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タイトル別名
  • Characteristics of carbon mineralization in disturbed and undisturbed incubations of forest soil
  • シンリン ドジョウ ノ ハカイ ヒハカイ バイヨウ ニ オケル タンソ ムキカ

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抄録

同一斜面で斜面位置の異なる5ヶ所の森林土壌(斜面下部よりスギ林,スギ・ヒノキ混交林,斜面中部ヒノキ林,上部ヒノキ林,落葉広葉樹林)を用い,斜面位置と土壌の破壊培養が炭素無機化特性に与える影響を調べた。炭素無機化特性は反応速度論によって解析し,3つの特性値(可分解性炭素量(C_0),反応速度定数(k(25℃)),見かけの活性化エネルギー(Ea))として求めた。C_0は表層(0〜10cm)で,斜面下部のスギ林を除き,非破壊が破壊培養より15〜35%大きかった。深さ10〜20cmでC_0は,斜面下部のスギ・ヒノキ林を除き,非破壊が破壊培養より15〜65%大きかった。C_0が破壊培養により小さくなる土壌は,細根の多い土壌とほぼ一致していた。破壊培養は細根等の粗大有機物の除去により,炭素供給量の低下と根圏微生物の減少をもたらし,C_0が小さくなると考えられる。しかし,C_0の斜面位置や深さによる傾向は,非破壊と破壊培養で著しい違いを生じなかった。k(25℃)は,例外はあるものの破壊が非破壊培養より若干大きかった。これは,破壊によって土壌微生物を一時活性化させること,およびCO_2の拡散の容易な環境を作るためと考えられる。破壊培養による細根の除去(炭素源の減少)は,Eaを増大させると推察される。しかしEaは,スギ林を除き,破壊が非破壊培養よりも小さいかほぼ同程度であった。これは,細根等の粗大有機物が,分解に大きなエネルギーを必要とするリグニン等や,有機物の分解を阻害する物質(テルペン類,フェノールなど)を多く含むためと考えた。

収録刊行物

  • 森林立地

    森林立地 39 (1), 36-45, 1997

    森林立地学会

被引用文献 (4)*注記

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参考文献 (37)*注記

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