睡眠時無呼吸症候群: 内科的治療

  • 塩田 智美
    順天堂大学医学部内科学教室呼吸器内科学講座

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タイトル別名
  • スイミンジ ムコキュウ ショウコウグン ナイカテキ チリョウ

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抄録

睡眠時無呼吸症候群Sleep Apnea Syndrome (SAS) の原因の多くは生活習慣にあることから, それらの改善により治癒することが可能な病気である. 一方で重症状態を放置すれば, 突然死をも導く. 初診から診断, 治療にいたる過程には, 重症度の把握, 寄与している原因の把握, それらに基づいた適切な治療方針の決定が望まれる. 重症度は問診による自覚症状, および終夜ポリソムノグラフィー (PSG) から決定され, 主たる原因因子の把握は, 内科的評価, 耳鼻科および口腔外科的な総合評価に基づき決定される. 内科的治療の代表的なものには, 生活習慣の改善, 口腔装具 (マウスピース), 夜間の経鼻持続気道陽圧療法nasal continuous positive airway pressure (nCPAP) などがある. 診断時の重症度分類が軽度で, 主たる原因が日常生活, 睡眠環境, 睡眠時の体位などによる際は, 第一選択としてそれら生活習慣の改善・睡眠時の工夫などが勧められる. 同様に軽症で, 下顎などの骨格の問題が主である際は, 第一選択として口腔装置が勧められる. 診断時に中等症以上で, 肥満の要素や日中の眠気の症状が強い場合には, CPAP療法が第一選択となる. 初回の治療方針が決定されても, これらの治療方針は, 患者の身体的要因や環境の変化に応じて移行し得る. 従って患者との十分なコミュニケーションに基づき, 習熟した医師の判断により, 患者へ常に最小かつ最大限の治療効果を考えることが, SASの診療においては大切である.

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参考文献 (33)*注記

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