膠原病・リウマチ内科におけるベーチェット病患者102症例の臨床的特徴の解析

  • 郭 江涛
    順天堂大学医学部内科学教室膠原病内科学講座
  • 山路 健
    順天堂大学医学部内科学教室膠原病内科学講座
  • 小笠原 均
    順天堂大学医学部内科学教室膠原病内科学講座
  • 高崎 芳成
    順天堂大学医学部内科学教室膠原病内科学講座

書誌事項

タイトル別名
  • Analysis of clinical features of 102 patients with Behcet's disease in our department of internal medicine and rheumatology
  • コウゲンビョウ リウマチ ナイカ ニ オケル ベーチェットビョウ カンジャ 102 ショウレイ ノ リンショウテキ トクチョウ ノ カイセキ

この論文をさがす

抄録

目的: ベーチェット病の全国疫学調査の結果では軽症化, 女性患者の増加などの報告がされている. 今回は2004年度に順天堂大学附属順天堂医院 膠原病・リウマチ内科を受診した患者の臨床像を調査し, 1972年から5回施行されている全国疫学調査結果と比較, 最近の疫学像の動向と当科患者の臨床像について検討した. 対象および方法: 2004年4月から2005年3月までの1年間に当科を受診したベーチェット病患者102例を対象として, 性別・年齢, 病型, 症状, 検査所見, 合併症, 治療内容などの臨床像について解析を行った. 結果: (1) 性別は男性43例, 女性59例で女性に多く, 病型としては完全型42例 (41.2%), 不全型60例 (58.8%) と不全型が多かった. (2) 病因との関連が示唆されているHLA-B51の陽性率は29例 (56.9%) で, 免疫グロブリンD (immunoglobulin D ; IgD) の陽性率は15.7%であった. (3) 重篤な合併症として, 悪性腫瘍が5例 (8.5%) を認め, いずれも女性であった. (4) 治療ではコルヒチン使用例が83例 (81.4%) であった. 難治例や重症例には, 副腎皮質ステロイド剤使用例は51例 (50%) であり, 免疫抑制剤使用例は13例 (12.7%) であった. 考察: 全国疫学調査においてベーチェット病の軽症化, 女性患者の増加が報告されているが, 今回の検討においても, 女性患者が多く, 不全型が多い傾向にあった. 婦人科系の癌の発生率が高かったことに関してはベーチェット病と関連があるのか, 治療に用いた薬剤の影響であるのかは明確ではなく, 今後, 検討していく必要がある. 内服治療の中心はコルヒチンであり, 難治性・再発性の口内炎や関節痛に同剤の投与は有用であると考えられた. 難治例や重症例には, 副腎皮質ステロイド薬と免疫抑制剤が投与されているが, 重篤な副作用などの問題点があるため, 適応については慎重に検討する必要がある.

収録刊行物

参考文献 (3)*注記

もっと見る

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ