血液透析患者における赤血球膜レセプター1 (E-CR1) と終末糖化産物advanced glycation end-product (AGE) との関連性

  • 山田 芳
    順天堂大学医学部内科学教室腎臓内科学講座
  • 谷本 光生
    順天堂大学医学部内科学教室腎臓内科学講座
  • 合田 朋仁
    順天堂大学医学部内科学教室腎臓内科学講座
  • 大澤 勲
    順天堂大学医学部内科学教室腎臓内科学講座
  • 濱田 千江子
    順天堂大学医学部内科学教室腎臓内科学講座
  • 大井 洋之
    順天堂大学医学部内科学教室腎臓内科学講座
  • 堀越 哲
    順天堂大学医学部内科学教室腎臓内科学講座
  • 富野 康日己
    順天堂大学医学部内科学教室腎臓内科学講座

書誌事項

タイトル別名
  • Relationship between levels of advanced glycation end-products (AGE) and activity in erythrocyte complement receptor 1 (E-CR1) in hemodialysis patients
  • ケツエキ トウセキ カンジャ ニ オケル セッケッキュウマク レセプター 1 E CR1 ト シュウマツ トウカ サンブツ advanced glycation end product AGE トノ カンレンセイ

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抄録

目的: 終末糖化産物 (AGE) は糖尿病合併症のみならず, 腎不全患者, 特に血液透析 (HD) 患者の合併症においても発症や進展に関与していることが知られている. 一方, 赤血球膜に存在する補体レセプターerythrocyte complement receptor 1 (E-CR1) は補体制御因子の役割と免疫複合体の処理に重要な役割を有している. E-CR1はHD患者において, 健常者と比較し発現量の低下が認められることが報告されている. 発現量低下の原因は, AGEの影響が考えられているが明らかにされていない. HD患者は易感染性であり, 合併症を併発することが多い. 多くの因子が考えられているが, AGEの上昇やE-CR1発現量の低下も生体に不利な状態を引き起こす原因と考えられる. 糖尿病性腎症患者やHD患者についてAGEの一つである血清ペントシジンを測定し, E-CR1発現量との関連性についても検討した. 対象と方法: 対象は当院で維持HDを施行中の患者50名 (糖尿病患者26名, 非糖尿病患者24名) と糖尿病腎症の各病期の糖尿病患者61名である. 一般臨床検査と血清ペントシジン, E-CR1を測定した. また, HD中の血清ペントシジンの変動を確認するため, HD開始時, 開始20分後・180分後・240分後の値を測定した. 結果: 血清ペントシジン値は糖尿病腎症のIV期で上昇傾向を示したが, 各病期間の比較で有意な差は認められなかった. HD患者では, 各病期に比較し有意な上昇が認められた. 糖尿病透析患者と非糖尿病透析患者との間には有意な差は認めず, 両群とも高値であった. HD中の血清ペントシジン値は, 著明な変動は認められなかった. 血清ペントシジン値とE-CR1の発現量は, 負の相関が認められた (r=-0.236, P<0.05). 結論: 維持HD患者では, 血清ペントシジン値の有意な上昇がみられた. 持続する血中ペントシジン高値がE-CR1の発現に影響を与えて生体の防御機構の変化に関与することが示唆された.

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参考文献 (19)*注記

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