ザンビア国ルサカ市貧困居住区におけるコレラ流行に関する空間疫学ならびにリスク要因分析

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タイトル別名
  • ザンビアコク ルサカシ ヒンコン キョジュウク ニ オケル コレラ リュウコウ ニ カンスル クウカン エキガク ナラビニ リスク ヨウイン ブンセキ
  • Spatial Epidemiology and Risk Factor Analysis of a Cholera Outbreak in Unplanned Settlements in Lusaka, Zambia

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抄録

南部アフリカのザンビア共和国の首都ルサカ市において,2003年11月から2004年6月の期間にかけ患者数6,542名の大規模なコレラ流行が市内の貧困居住地区を中心に発生した.本研究は,今回の流行の疫学的研究として,流行のリスク要因を明らかにすべく空間疫学解析と症例対照調査を行った.コレラ菌は全てエルトール・オガワ型であり,空間疫学調査対象地域の患者数は479名,症例対照調査地域は1,643名の患者が報告された.空間疫学分析の結果,「住居敷地内にトイレを有していない」と「家屋周辺に排水溝が整備されていない」の2要因のみがコレラ発症との関連が示唆された(重相関係数0.832,p値<0.05).症例対照調査は,2地区あわせ症例120人と対照239人の飲料水,手洗いの方法,食物の摂取に関するリスク要因を検討し,「浅井戸を飲料水の水源としている」(オッズ比3.63)と,「家屋敷地内にトイレを有していない」(オッズ比1.83)の両者においてコレラ感染との関連が統計的に有意に示された.一方,コレラの予防要因として,「毎日飲料水を消毒する」(オッズ比0.54),「排便後に手を洗う」(オッズ比0.51)はそれぞれ統計的に有意であった.ルサカ市におけるコレラ流行は個人の衛生行動のみならず居住衛生環境とも強く関連し,特に家屋周辺の排水溝の整備と住居毎のトイレ設置世帯割合の増加を図ることにより,コレラ流行拡大が抑制可能であることが強く示唆された.さらには,発展途上国でのGISによる疫学調査の有用性が示された.

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