書誌事項
- タイトル別名
-
- Anti-demineralizing Effect of Tea Extracts on Teeth
この論文をさがす
抄録
in vitroおよびin vivoの多くの研究から,緑茶抽出物は茶葉に含まれるカテキンとフッ化物により抗菌性と抗齲蝕性を有することが示唆されている.本研究の目的は緑茶抽出物(PF-4,フッ化物濃度は3,900μg/g)由来のフッ化物のエナメル質および象牙質の脱灰に対する効果をin vitroにて究明し,さらに齲蝕予防法としての可能性を論ずることである.0,0.01,0.05,0.1,0.2,0.4および0.8重量%のPF-4と,NaFとして0.4 ppm Fおよび4.0ppm Fを有する脱灰緩衝液を用意した.窓空けし,よく研磨されたウシエナメル質と象牙質片をpH4.6とpH5.0の脱灰緩衝液に37℃で4日間浸漬した.ミネラルプロファイル,integrated mineral loss(IML)および病巣深さ(Ld)をtransversal microradiography (TMR)で分析した.低濃度のPF-4を含む緩衝液でエナメル質と象牙質に形成された病巣は,同一のフッ化物量(NaF)を含む緩衝液で形成された病巣に比較して,やや低いが厚いミネラルボリュームを示す表層と,より少ない脱灰病巣体部を有する特徴を示していた.エナメル質および象牙質のIMLは,PF-4の濃度が上昇するとともに,脱灰に対して徐々に予防的な効果を示した.形成されたエナメル質病巣はPF-4が増加するとIMLとLdの減少を示したのに対し,象牙質ではIMLは減少したがLdは減少しなかった.これらの所見はPF-4を含む緩衝液の脱灰様相の特徴であり,原因として茶由来の有機質,アミノ酸,ならびにアルミニウムやいくつかの金属イオンが歯質のアパタイトと結合して拡散障壁を形成するからであると考えられた.結論として,このin vitro研究からPF-4の脱灰抑制効果は病巣体部の脱灰減少ということで特徴付けられることが示され,また,この点において,低濃度のPF-4はNaFより効果的な役割を担っていることが示唆された.
収録刊行物
-
- 日本歯科保存学雑誌
-
日本歯科保存学雑誌 50 (3), 302-312, 2007
特定非営利活動法人 日本歯科保存学会
- Tweet
キーワード
詳細情報 詳細情報について
-
- CRID
- 1390001205520324352
-
- NII論文ID
- 110007151183
-
- NII書誌ID
- AN00191201
-
- ISSN
- 21880808
- 03872343
-
- 本文言語コード
- ja
-
- データソース種別
-
- JaLC
- CiNii Articles
-
- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可