直腸癌術後膵転移の1切除例

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  • Metastatic Pancreatic Cancer from Rectal Carcinoma: A Report of a Resected Case

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抄録

症例は53歳の男性で,2002年6月に直腸癌に対して低位前方切除術が施行され,術後テガフール・ウラシルによる化学療法を受けた.2004年7月に肺転移に対し肺切除を施行した.2007年3月に閉塞性黄疸が出現し入院となった.血液検査では総ビリルビン値は6.3 mg/dl,CEAは103 ng/mlと高値であった.CTでは膵頭部に石灰化を伴う造影効果の乏しい16 mmの腫瘍を認め,上流側総胆管・主膵管の拡張を認めた.また,総胆管内への腫瘍進展も認めた.直腸癌術後膵転移を第1に考え亜全胃温存膵頭十二指腸切除術を施行した.大腸癌孤立性膵転移はまれな病態で,転移性と原発性膵癌の術前鑑別診断は一般に困難である.本例では腫瘍内石灰化,胆管内腫瘍進展を伴っており大腸癌膵転移を強く疑った.本邦での大腸癌膵転移報告例23例を集計すると膵転移切除後1年未満の早期死亡例は5例みられたが,1年以上の生存例は12例確認された.以上から,長期生存のためにも外科的治療は選択されうると考えた.

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