Read/Search this Article
Abstract
凍乾試料の含水度そのものは試料の物化的変化に貢献する水分の代表値とみなすことはいうまでもなく不合理であり、残存水の活性をより適当に代表するパラメータを用いることを強調したい。自由水と結合水の問題は古くから論ぜられているが、その相互の関係についてば未だ統一的な解釈はなされていない。多くの報告が示す如く結合水は決して固定したものでなく、試料中での結合水⇌自由水の平衡は条件によって大きく変化し乾燥過程によって一般に右方への移動が起る。試料の示す平衡水蒸気圧(ERH)は試料中の水の活量を代表する値であり、この値は溶液にも二次乾燥にも適用しうる共通のパラメータとして便利かつ合理的なものと考えられる。私達はTaylorの装置(1962)を改良して使用し、S.cerevisiae, A. oryzae (conidiaおよびmycelium), B. subtilisおよび酵母の凍乾保護物質に私達が使用しているskim milk+MSG+sucrose溶液の凍乾試料につき、真空度10^<-2>〜10^<-1>mmHgで液体N_2により脱水しつつ各水分レベルでERHを測定した。またそれらの温度に対する挙動、平衡達成速度をも檢討した。各種微生物のERH-水分曲線は著しい差がみられ、ERH5%の含水度は酵母・かびで約40mg/g(dry)に対し細菌では160mg/g(dry)であった。この事は各種生体間で含水度が水の物化的状態とくに活量を代表しえない事を示す。又保護物質を用いる場合試料全体の含水度を測定してもそれが直ちに試料中の菌体のそれを代表するものではなく活量を代表するERHから判定すべきもので水分分布を逆算する事も出来よう。たとえば酵母の場合保護物質は菌体に比し、平衡達成速度が著しく少であるのみならず、ERH-含水度の関係も両者がかなり異なっている。そのほか温度に対する挙動を含めこれらの結果を、Abderhalden法などと結びつけて考察した結果を報告する。
Journal
- 凍結及び乾燥研究会記録 [List of Volumes]
-
凍結及び乾燥研究会記録 7, 69-76, 1963-04-09 [Table of Contents]
Japanese Society for Cryobiology and Cryotechnology