Slow eye movementsを呈した急性小脳性失調症の一例

DOI

書誌事項

タイトル別名
  • An Adult Case of Acute Cerebellar Ataxia with Slow Eye Movements

この論文をさがす

抄録

症例は24歳男性。感冒様症状出現後,歩行時ふらつき,構音障害を主訴に入院した。病初期に軽い意識障害あり。髄膜刺激症状は明らかでなく,上方注視時垂直性眼振,衝動性眼球運動障害,小脳性の躯幹,四肢失調を呈した。頭部CTは正常で,脳波はびまん性徐波化,髄液細胞数48/3(リンパ球94%)を認めた。血清,髄液中ウイルス抗体価の有意な上昇はなかったが,症状,経過,髄液所見などよりウイルス性脳炎に伴う急性小脳性失調症と診断した。病巣は小脳のみならず脳幹(特に橋部労正中網様体)にも及んでいると考えられた。本症は元来小児科領域の疾患で,また種々の眼球運動障害を合併するが,slow eye movementsを呈した例は文献上も記載がなく,稀な症例と思われる。本症は一般に経過良好とされているが,本例では現在なお構音障害,衝動性眼球運動障害が残存している。

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ