Bacteroieles fragilisから分離されたβ-ラクタマーゼプラスミドpBFSK1の構造と機能

DOI

書誌事項

タイトル別名
  • Structure and Function of β-lactamase Plasmid pBFSK1 from Bacterides fragilis

抄録

各種のβ-ラクタム系抗生剤に耐性を示すBacteroides fragilis(腸炎患者由来)から分離されたβ-ラクタマーゼプラスミドpBFSK1について分子遺伝学的解析を行なってきたが,今回はその構造と機能を明らかにした。制限酵素Hind III, EcoR I, Pst I, BamH I, Sma I, Sal I, Pvu II, Dra I, Ava I, Acc IおよびHinf Iを組み合わせたDNA切断実験によって詳細な制限酵素地図を作成し,得られた各DNA断片のサイズからプラスミドpBFSK1の分子サイズは2,62 kilobase (kb)であることが確認された。トランスポゾンTn5とインサーションシークエンスγδを転移させ,挿入変異を起こしたクローンが保有するプラスミド(pBFSK1::Tn5, pBFSK1::γδ)分子上の転移部位のマッヒングを行なった結果,0.85kbのβ-ラクタマーゼ遺伝子領域と1.16kbの複製遺伝子領域を決定することができた。また,コードするβ-ラクタマーゼをEscherichia coliの細胞内で発現させ,その生化学的性状を検討した結果, pBFSK1がコードするβ-ラクタマーゼは分子量29kilodaltonでII型のオキシイミノセファロスポリナーゼに類似した基質特異性を有することがわかった。このβ-ラクタマーゼをコードする遺伝子領域の一部92base pairの塩基配列を決定し,すでに明らかにされているトランスポゾンTn 3のTEM β-ラクタマーゼ遺伝子およびKlebsiella Pneumoniae LEN-1株染色体DNAに存在するβ-ラクタマーゼ遺伝子の全塩基配列と比較したところ,最も類似した塩基配列のホモロジーがTn3β一ラクタマーゼ遺伝子に対しては50%,LEN-1 DNA上のβ-ラクタマーゼ遺伝子に対しては67%であることが確認された。さらに,プラスミドの不和合性群の決定によりpBFSK1はProteus属等の腸管内常在菌から多く検出されるプラスミと同様にInc C群に属し,その由来が同一である可能性が示唆された。オキシイミノセファロスポリナーゼプラスミドの構造と機能に関する知見は本報告が唯一のものであり,ペニシリナーゼ,セファロスポリナーゼに不活化されにくいオキシイミノセファロスポリンに対する耐性が広く細菌間にプラスミドを介して拡大しつつあることを示唆する。

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390282679870049920
  • NII論文ID
    110007373690
  • DOI
    10.11434/kyorinmed.19.375
  • ISSN
    1349886X
    03685829
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

問題の指摘

ページトップへ