抄録
本研究の目的は分散認知環境における集団課題において,課題成績に寄与する行動要因を特定することである.本論文では,集団メンバ間の親密さのもたらす影響に焦点をあて,ノンバーバルコミュニケーションとの関連を実験により調べた.実験では参加者間に情報の非対称性が発生する状況のもと,迷路の中で目標を捕まえるゲームを行わせた.第1実験では,このゲームを個人使用の通常の液晶ディスプレイを用いた場合と,テーブル型の共有ディスプレイを用いて行った場合とを比較した.その結果,テーブル型で集団課題の成績が高まり,特に集団内部の親密さが高いときにより大きいことが分かった.第2実験では,親密さを独立変数として操作し,親密さの影響が確認された.親密さによって成員相互のメタ知識の形成が促進され,スムーズなノンバーバルコミュニケーションが利用可能となることが課題成績の向上をもたらしたと考えられる.この結果を踏まえ,協調作業支援システムを設計する上での提案を行う.