胎児診断された先天性胆道拡張症7例の治療経験 : 臨床的特徴と早期一期的根治手術

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  • The Management of Prenatally Diagnosed Choledochal Cyst
  • タイジ シンダン サレタ センテンセイタンドウ カクチョウショウ 7レイ ノ チリョウ ケイケン リンショウテキ トクチョウ ト ソウキ イチゴテキ コンジ シュジュツ

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抄録

【目的】近年,超音波検査により胎児期に発見される先天性胆道拡張症(CBD)が増加しているが,胎児診断例に対する治療方針はいまだ明確ではない.自験7例に対する治療経験をもとに, CBD胎児診断例の特徴と治療方針について検討した.【方法】1997〜2006年までの10年間に経験した7例のCBD胎児診断例を対象とし,臨床的特徴と治療について検討した.【結果】肝外胆管の拡張形態は7例全例が大きな嚢胞型で嚢胞径は33〜80mm (平均46mm)であった.肝内胆管拡張を伴うIV-A型は1例のみで, Iaが6例であった.乳児期以降に紹介された1例を除いて, 6例の手術日齢は8〜68日(平均37日)で早期手術が行われた.手術術式は, 6例に一期的な肝外胆管切除・肝管空腸吻合術を施行し,術前Vit.K欠乏に伴う頭蓋内出血を合併した1例のみ胆嚢瘻を先行させた.胆汁中膵酵素の上昇が4例にみられ,膵液の逆流が認められた.肝生検では, 1例に線維化がみられ,4例で肝細胞の水腫様変化,胆汁鬱滞が認められた.全例,術後経過は順調で術後2〜11年経過し合併症は認められない.【結論】全例術後経過に問題なく,有症状例では全身状態が不良でなければ早期一期的根治術で問題ないと思われる.無症状例においても,胆管内への膵液の流入がみられる例や,肝臓の線維化を認める症例があったことから治療時期に関しては,有症状例では直ちに,無症状例でも可及的早期(生後1〜2か月)に根治術を行うのが望ましいと考える.

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