可移植性腹水型エールリッヒ癌細胞からのサイクリックAMP濃度の急速な増加に伴うリポ蛋白質リパーゼの分泌
書誌事項
- タイトル別名
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- Release of lipoprotein lipase from Ehrlich ascites tumor produced by an association with a rapid increase in cyclicAMP content
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抄録
癌細胞における脂質代謝はその成長や増殖において重要な役割を担っていると考えられているが、その詳細は不明の点が多い。リポ蛋白質リパーゼはリポ蛋白質中のトリグリセリドを加水分解する重要な酵素である。本研究室では、最近の研究によりLPLが可移植性腹水型エールリッヒ癌細胞から分泌され、癌細胞の脂質代謝を調節していると考えている。癌細胞からのLPLの分泌が3.2kDaの低分子量デキストラン硫酸によって促進される時、癌細胞内サイクリックAMP濃度は30秒まで時間の経過に伴い急速な増加が認められ、最大値はサイクリックAMPの標準値の1.5倍以上になった。サイクリックAMP濃度の増加はイソブチルメチルキサンチンの存在下で更に増大し、プロプラノロールによって抑制されなかった。さらに、癌細胞におけるサイクリックAMP依存性プロテイソキナーゼ(PKA)活性は時間の経過及び濃度の増加に伴い高められることが示唆された。また、癌細胞からのLPL分泌は2',5'-デオキシアデノシンによって阻害された。これらの結果から癌細胞のLPL分泌はサイクリックAMP濃度の急速な増加に伴うPKAの活性化を含む経路が関与していると示唆された。
収録刊行物
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- 福山大学薬学部研究年報
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福山大学薬学部研究年報 17 79-80, 1999
福山大学
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1572261552438104960
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- NII論文ID
- 110007408655
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- NII書誌ID
- AN10064550
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- ISSN
- 0288724X
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- CiNii Articles