血漿中プロジェスチンの非抽出迅速エンザイムイムノアッセイによるアジアゾウの3回の妊娠モニタリング

書誌事項

タイトル別名
  • Monitoring Three Pregnancies of an Indian Elephant (<i>Elephas maximus indicus</i>) by a Rapid Enzyme Immunoassay of Progestins in Plasma Without Extraction(Reproduction)

この論文をさがす

抄録

飼育下においてアジアゾウの遺伝的多様性を保ちながら個体数を維持することは非常に難しく,我が国では,本種の正常出産は,これまでに本研究の2例を含むわずか3例しかない。このような低い繁殖率を改善するためには,繁殖生理の解明や繁殖補助技術の確立が必要であり,特に妊娠を診断し出産を予測する技術は不可欠である。そこで本研究では,アジアゾウにおけるこれらの技術を確立する目的で,神戸市立王子動物園で飼育・展示中の1頭の雌インドゾウにおける1例の死産を含む3回の妊娠期間中に得られた血漿中のプロジェスチン(P)濃度を,非抽出迅速エンザイムイムノアッセイ法により測定した。その結果,3回とも妊娠9週目までに,P濃度はいったん上昇するが,通常の発情周期と同様に減少し,基底値に達する前に通常周期のピーク値を上回る値まで再上昇した。この一連のPの変動パターンは,本種における早期妊娠診断に応用できる可能性が考えられた。またP濃度は,3回とも常に妊娠中期にいったん減少し,その後再び上昇するという二峰性を示した。3回目の妊娠末期については,新鮮な血漿を用いてPの迅速測定を連日行ったところ,2回目の出産時と同様に,分娩4日前に値が基底値にまで急落した。この情報から,飼育担当者は出産に向けた準備を始め,予想通り4日後に健康な雄が無事に生まれた。

収録刊行物

参考文献 (42)*注記

もっと見る

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ