中国の退耕還林をめぐる国内論争の分析

  • 虎 向
    北京大学-早稲田大学共同教育研究運営機構

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タイトル別名
  • An Analysis of the Controversy Over the Program for Conversion of Cropland to Forest in China
  • チュウゴク ノ タイコウカンリン オ メグル コクナイ ロンソウ ノ ブンセキ

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抄録

本稿は,中国政府が1999年より開始した退耕還林政策について,その実施方式をめぐる中国国内の論争を既存文献から整理して紹介し,同政策の抱える問題点を抽出するものである。退耕還林は,穀物や現金を補助することによって農家の植林インセンティブを高め,急傾斜地など生態的に脆弱な農地を植林地に転換するという政策である。研究者や行政担当者の意見を分析すると,森林資源の回復を優先的に考える生態系回復重視派と,住民に配慮して林間間作の権利や経済的樹木の比率の増大を求める農民生活重視派に分けることができた。退耕還林の試験段階に出された意見を踏まえ,2003年1月には「退耕還林条例」が施行されたが,その内容は生態系回復重視派の立場をより強く反映したものであった。引き続き,退耕還林の現場で多くの事例研究を実施し,現場の経験を反映させて政策を改善していくことが必要である。

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参考文献 (26)*注記

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