「たらまピンダ島興し事業」の展望と課題

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タイトル別名
  • The prospect and the problem of "The island to prosper project by Tarama pinda"
  • タラマ ピンダ シマオコシ ジギョウ ノ テンボウ ト カダイ

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抄録

多良間村は、たらまピンダ(山羊)を中核に「多良間ブランド」と位置づけた地域資源の有効活用を図り、地域活性化に向けた取り組みを展開しようとしている。しかし、畜産業としての山羊の位置付けは低く、関連する制度資金の融資も受けられない現状である。また、沖縄の山羊は肉用、乳用とも改良が進んでいないため収益性が低く、製品の販路の確立がなされていない等、山羊を取り巻く環境は厳しい。一方、花粉症やアトピー性皮膚炎に悩む現代人は多い。また、登校拒否や引きこもりの子ども達も多い。山羊乳はアレルギー反応を示す人が少ないといわれており、アトピーの子ども達にも飲用され注目されている。島には杉の木がないので花粉症の心配はない。山羊はおとなしく、触れ合うことによって人に癒しを与えてくれる。居場所のない子ども達や花粉症に悩む人たちにとって癒しの島になる。山羊乳からはアイスクリーム、ヨーグルト、チーズ、石鹸等を加工することができる。これらは島の特産品となり、土産品となるとともに体験滞在型観光の学習カリキュラムとして活用できる。また、多良間村は国の重要無形文化財に指定されている「八月踊り」や「多良間シュンカニ」を中心とした民俗・芸能の宝庫であり、肉用牛やサトウキビ等の農業、周囲を海に囲まれた漁業の島である。これらの芸能や産業も、体験滞在型観光の学習カリキュラムとして活用できる。このように山羊単独での島興しは困難であるが、癒しの島としての観光・リゾート、他の耕種農業や漁業とリンクさせることにより、新しい産業を生み出す可能性を秘めている。

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