重窒素標識牛ふん堆肥を施用した砂丘未熟土モノリスライシメータにおける2年半の窒素動態

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タイトル別名
  • The fate of nitrogen derived from ^<15>N-labeled cattle manure compost and ammonium fertilizer in sandy soil monolith lysimeters for 2.5 years
  • ジュウ チッソ ヒョウシキ ギュウフン タイヒ オ シヨウ シタ サキュウ ミジュクド モノリスライシメータ ニ オケル 2ネンハン ノ チッソ ドウタイ

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抄録

砂丘未熟土のモノリスライシメータ(深さ1m)に重窒素標識した牛ふん堆肥および硫安を施用し,これら資材に由来する窒素の溶脱,吸収,土壌への残存を施用2年半後まで明らかにした.また,両資材併用の窒素動態への影響を調査するために,標識硫安(F),標識硫安と非標識堆肥(Fc),標識堆肥(C),標識堆肥と非標識硫安(Cf)の4処理で1作目のコマツナを栽培し,以降は非標識資材を用いて夏トウモロコシ-冬ホウレンソウを年1作ずつ2年栽培して,次の結果を得た.なお,1作目の窒素施用量は各資材15g m^<-2>とした. 1)各処理における標識資材由来窒素の残存量,溶脱量,吸収量は, F:1.6, 6.4, 5.5gm^<-2>, Fc:2.6, 4.1, 6.1gm^<-2>, C:10.2, 2.1, 0.6gm^<-2>, Cf:10.0, 2.2, 1.0gm^<-2>であった. 2)標識硫安施用後,浸透水中のTN濃度がピークになるまでの浸透水量は390mmであり,平均的な土壌モノリスの保持水量140mmを大きく上回った.施肥時の地温が低く,また前歴が裸地であったために硝化が遅れたと考えられる. 3)標識堆肥施用後,浸透水中のTN濃度がピークになるまでの浸透水量は610mmであった.これは2作目の施肥に対応したTN濃度の上昇と同時であり,標識堆肥由来窒素は,地温が上昇した施用翌春に多く無機化し,溶脱したことがわかった. 4)標識硫安由来窒素の吸収量と溶脱量の合計は,1年目にはFcでFより少なく,以降は反対にFcで多かった.この結果から,堆肥併用により,施用1年目には標識硫安由来窒素の有機化が促進されたが,2年目以降では再無機化量が多くなったと考えられた. 5)標識堆肥由来窒素の吸収量と溶脱量の合計は,1年目にはCfでCより多く,以降は逆の傾向を示した.このことから,硫安の併用は,初年目には堆肥の分解を促進するものの,それ以降の効果は小さいことがわかった.

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