四国地方のヒノキ人工林における間伐後6年間の林床植生変化

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タイトル別名
  • Six-year responses of understory vegetation to thinning in hinoki cypress plantations in Shikoku Island, Japan
  • シコク チホウ ノ ヒノキ ジンコウリン ニ オケル カンバツ ゴ 6ネンカン ノ リンショウショクセイ ヘンカ

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抄録

四国地方のヒノキ人工林において強度の間伐を実施した後の林床植生の発達過程を明らかにした。2002年に高知県内の2箇所の試験地(旧宮および天狗)において,処理区の設置と間伐が行なわれた。本数間伐率50%の間伐区と対照区を各試験地に設置し,天狗では間伐率25%の処理も設けた。間伐後,林床植生の優占度(被度・高さ)および種多様度の変化を6年間にわたって観測した。いずれの試験地においても,すべての間伐区(25%,50%)で林床植生の植被率の増大が認められ,50%区では種数や種ごとの被度・高さにも大幅な増加がみられた。植被率および最大植生高の増加は数年間続いたが,種数は間伐当年に急増してそのまま推移した。また,種多様度指数H'の値は間伐当年に急増後,低下した。これらの結果は,新規加入種の定着が間伐後1年目に集中的に起こり,2年目以降,一部の出現種のみの被度が増加することによって全体的な植被率の上昇がもたらされたことを示唆している。天狗の50%区では旧宮と比較して最大植生高や種数の増加が顕著で,草本や先駆性種の優占度が高く,観測期間中の種多様度や種組成の変動も大きい傾向がみられた。天狗では旧宮に比べ間伐実施時点の林床植生が少なかったことが,このような試験地間の反応の違いをもたらす直接的な要因となったと考えられた。さらに,気候域や土地利用の履歴の違いが,間伐後の植生発達の過程に間接的な影響を及ぼしている可能性が考えられた。

収録刊行物

  • 森林立地

    森林立地 51 (2), 127-136, 2009

    森林立地学会

被引用文献 (1)*注記

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参考文献 (36)*注記

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