脊髄空洞症を伴った特発性胸椎硬膜内クモ膜嚢胞の診断と治療 : 4症例の経験より

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  • Treatment of Syringomyelia associated with Idiopathic Intradural Thoracic Arachnoid Cyst : Report of Four Cases

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抄録

脊髄空洞症を生じ,歩行障害を呈した特発性胸椎硬膜内クモ膜嚢胞は,診断が難しく,治療方法も確立されていない.本論文では,MRI診断における要点と,手術方法について考察を行った.われわれが経験した4症例では,MRI T2強調矢状断像において,脊髄空洞症に近接して,脊髄背側部のクモ膜下腔拡大と,脊髄の前方への偏位圧迫を認めた.この脊髄の形と位置の変化が,特に重要な所見である.上記所見により,クモ膜嚢胞の診断はMRIで可能と考える.神経症状が進行する場合は手術が必要と判断される.われわれは全例にクモ膜嚢胞摘出術を行い,うち1例にはシャント術を追加した.術後全例で脊髄空洞症は縮小し,神経症状の改善を認めた.脊髄空洞症を伴った胸椎硬膜内クモ膜嚢胞に対しては,クモ膜嚢胞摘出術を第一選択とし,脊髄への圧迫が除かれたと判断できる場合は,シャント術は不要と考えられる.

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