急速な嚢胞容積縮小とともに大量喀血を繰り返した多発感染性肺嚢胞症の1例

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タイトル別名
  • A Case of Multiple Infected Emphysematous Bullae Causing Repeated Massive Hemoptysis with Rapid Volume Decrease of Bullae

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抄録

背景.肺嚢胞が感染を契機に縮小することは時に経験するが,その際に大量の喀血を合併することは稀である.今回我々は,感染性肺嚢胞の治癒過程で嚢胞の急速な縮小とともに大量喀血を繰り返した症例を経験したので報告する.症例.62歳の男性.基礎疾患として,高度の肺気腫及び両側広範囲の多発肺嚢胞がある.肺炎及び多発感染性肺嚢胞のため入院.抗生物質治療による感染症状の改善に伴い嚢胞は急速に縮小.しかしその頃に,複数回の大量の喀血が出現.緊急で行った血管造影では,複数の異常な血管の増生やシャントを認め,それらの血管の塞栓術治療を要した.気管支鏡検査では粘膜病変は認めなかった.感染が治まり,嚢胞の容積変化が停止して以後は大量の喀血は消失した.結論.大量喀血の原因の1つとして,感染性肺嚢胞の治癒過程で起きた急速な容積減少が関与している可能性が考えられた.

収録刊行物

  • 気管支学

    気管支学 32 (3), 246-252, 2010

    特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会

被引用文献 (2)*注記

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参考文献 (12)*注記

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