小学校教師におけるバーンアウトの因子構造の検討

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タイトル別名
  • Factorial Validity of a Burnout Scale for Japanese Elementary School Teachers
  • ショウガッコウ キョウシ ニ オケル バーンアウト ノ インシ コウゾウ ノ ケントウ

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抄録

教師のバーンアウト研究において,バーンアウト尺度における因子構造の不安定さが研究上の問題点として指摘されてきた。すなわち,Maslach Burnout Inventory(MBI)などのバーンアウト尺度で想定されている因子のうち,「情緒的消耗感」因子と「脱人格化」因子についての統計的な識別が曖昧であり,教師におけるバーンアウト概念の整理と合わせて,検討の余地が残されてきた。そこで,本研究では小学校教師における日本語版バーンアウト尺度の因子的妥当性を検討することを目的とした。甲信越地方の公立小学校教師を対象に調査を実施し,540名から有効回答が得られた。バーンアウトの理論的背景及び教師を対象にMBIや日本語版バーンアウト尺度を実施している先行研究を基に,2つの因子構造モデルを想定し,確認的因子分析によるモデル比較を行ったところ,「情緒的消耗感」「脱人格化」「個人的達成感」の3つの因子で構成される3因子モデルが最も高い適合度を示した。この結果から,小学校教師のバーンアウトは3つの因子で説明することが適切であることが示唆され,今後の研究において,この3側面の時系列的な相互関係に焦点を当てることで,バーンアウトプロセスの解明や段階に応じた適切な介入方法の発見につながる可能性が考えられた。

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