喘息の診断を受けていた原発性線毛運動不全症の1例

書誌事項

タイトル別名
  • A CASE OF PRIMARY CILIARY DYSKINESIA WHO HAD BEEN TREATED AS ASTHMA
  • 症例報告 喘息の診断を受けていた原発性線毛運動不全症の1例
  • ショウレイ ホウコク ゼンソク ノ シンダン オ ウケテ イタ ゲンパツセイセンモウ ウンドウ フゼンショウ ノ 1レイ

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抄録

症例は18歳女性.出生直後より咳嗽,喀痰,喘鳴,鼻汁を反復していた.気管支喘息,慢性副鼻腔炎,滲出性中耳炎と診断を受け加療されていたが,様々な喘息治療薬への反応は一定ではなく,呼吸機能検査上強い末梢気道閉塞パターンが持続した.またインパルスオスシロメトリーにてβ2刺激剤による可逆性を認めていた.呼吸器疾患の家族歴はなく,内臓逆位は認めなかった.18歳時に胸部CT上気管支拡張症を認め,鼻腔NOが低値であることからPCDを疑った.鼻粘膜電顕写真にて線毛のdynein armsの欠損が確認され原発性線毛運動不全症(PCD:Primary ciliary dyskinesia)と診断した.DNAH5遺伝子に変異を認めた.多型内臓逆位を伴わないPCDはしばしば喘息との鑑別が困難なため,幼少時より咳嗽,喀痰,喘鳴,鼻汁が持続し呼吸器感染を反復する例,治療抵抗性の慢性副鼻腔炎,慢性中耳炎,滲出性中耳炎の合併例,気管支拡張症を認める例では本症を念頭に置く必要がある.その際に,鼻腔NO測定はPCDのスクリーニングに有用である.

収録刊行物

  • アレルギー

    アレルギー 59 (7), 847-854, 2010

    一般社団法人 日本アレルギー学会

参考文献 (18)*注記

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