食道癌salvage手術と気道壊死に関する検討

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  • Airway Necrosis after Salvage Esophagectomy

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抄録

はじめに:食道癌に対する根治的化学放射線療法(chemoradiotherapy;以下,CRT)後の遺残・再発症例は,salvage手術が唯一の治療法である.しかし,合併症率が高く,特に気道壊死は致死的合併症となる. 方法:1997年から2007年まで,当院で胸部食道癌に対しsalvage手術を施行された49例を対象.気道壊死症例の検討を通してsalvage術後の気道壊死の特徴を明らかにし,臨床学的背景,手術手技について,気道壊死症例と非気道壊死症例で比較検討した.結果:気道壊死は5例(10.2%)に認められた.気道血流障害が主因のprimary necrosis(3例)と胃管の縫合不全が先行したsecondary necrosis(2例)に分類できた.穿孔時期は術後7~36日と幅広く,腫瘍局在,深達度,手術時間,出血量と気道壊死との関連性は認められなかった.気管支動脈切除,頸部・気管分岐部リンパ節郭清が気道壊死に関与している傾向にあった.そして,secondary necrosisの2症例は,後縦隔経路再建例に認められ,胃管気道瘻へ発展した.考察:Salvage手術後の致死的合併症は,気道壊死が大きく関与していた.気道血流に与える放射線照射の影響が,気道壊死を招く大きな要因と考えられた.郭清操作は血流に配慮して行い,再建経路は胸骨後経路が望ましいと考えられた.

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