術前診断が困難であった後腹膜嚢胞腺癌の1切除例

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タイトル別名
  • A Case of Primary Retroperitoneal Cystadenocarcinoma with Difficulty of Preoperative Diagnosis

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抄録

後腹膜に発生する嚢胞性腫瘍はまれであり,悪性嚢胞腺癌は極めて少ない.症例は56歳の女性で,下腹部痛と血便を主訴に近医を受診し,骨盤内腫瘍,直腸浸潤の疑いと診断され,手術目的に当科紹介となった.術中所見では,後腹膜腔に存在した腫瘍は,膣後壁と直腸に浸潤し,周囲に多数のリンパ節腫大を認めた.根治術を行い,径11×13 cm大の類円形で表面平滑な腫瘍の内腔を確認すると,粘稠な内容物と黒褐色の泥状物質を含み,また嚢胞内壁には無数の乳頭状隆起を認めた.病理所見で乳頭状構造,充実性増殖を呈する異型腺管の増殖を認め,上皮の性状から発生学的にミュラー管組織が示唆され,加えて両側の卵巣が正常であったことより後腹膜原発の嚢胞腺癌と診断した.また,所属リンパ節に多数の転移と直腸および膣後壁に直接浸潤を認めた.術後経過は良好であり,外来にてTS-1+少量CDDP療法を開始し,現在まで術後1年2か月間,再発は認めない.

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参考文献 (23)*注記

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