Aenetus virescens (DOUBLEDAY)の雌雄外部生殖器と雄外部生殖器の筋肉系

書誌事項

タイトル別名
  • Male and Female External Genital Structure of Aenetus virescens (DOUBLEDAY) and Its Male Genital Musculature (Lepidoptera, Hepialidae)
  • Aenetus virescens(Doubleday)の雌雄外部生殖器と雄外部生殖器の筋肉系〔英文〕
  • Aenetus virescens Doubleday ノ シユウ ガイブ セ

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抄録

ニュージーランドに産する大型の緑色のコウモリガAenetus virescens(DOUBLEDAY)の雌雄外部生殖器の構造および雄外部生殖器の構造および雄外部生殖器の筋肉系を図示し記載した.本種の雄外部生殖器の構造では次の形質状態が特徴的である.すなわち1)mesosomeが欠如する,2)valva下縁の中央部より先端が鋭くとがった突起が腹方へ伸びている.雄外部生殖器の筋肉系ではHepialus属およびEndoclita属と基本的な差はみられないが,vinculumとvalvaを結合するm.5が非常に発達し,大型化している.雌外部生殖器の構造は第6腹板の後方に大型のプレートが形成されることを除けば,Hepialus属の雌外部生殖器と基本的な差はみられない.このプレートと第7,第8背板の間の膜質部に第7,第8気門が存在することから,この大型のプレートは第7,第8腹板が融合して形成されたものと推測される.本種の交尾の際の接合様式は不明であるが,上述したように雌外部生殖器の構造がHepialus属と基本的に同一であること,雄外部生殖器においてmesosomeが欠如し,valvaの下縁から腹方へ鋭い突起が突出すること,またvalvaへ付着する筋肉m.5が非常に発達することから推測すると,Hepialus属やEndoclita属で"腹方のuncus"として働いていたmesosomeによる雌外部生殖器の把握機能は,valva下縁の突起によって代行されているように思える.これまで観察されたコウモリガ科の雄外部生殖器の構造はmesosomeの発達状態をもとにすると次の4つのタイプに分けられる,すなわちA型:tegumenの側域の腹縁から下方へ伸びた突起が腹中線部で融合してmesosomeを形成する.このタイプはEndoclita属,Hepialus属,Zenophassus属,Oncopera属およびPalaeosetidaeのOgygioses caliginosa ISSIKI & STRINGERで観察される.B型:大型の中空になった突起がmesosomeとしてtegumen下縁の腹中線部に発達するもので,キンスジコウモリHepialus hecta L.とH. tacomaea EDWARDで観察される.C型:mesosomeは発達せずvalvellaが腹中線部で融合しない.このタイプはAenetus属,Oncopera属で観察される.D型:mesosomeは発達せずvalvellaが腹中線部で完全に融合し,tegumenは半環状の形態を呈する.このタイプは南米のCallipielus属で観察される.このタイプにはtegumen背域がさらに骨化し,後方からみるとtegumen全体が完全な環状構造を呈する種もある.

収録刊行物

  • 蝶と蛾

    蝶と蛾 33 (1-2), 87-96, 1982

    日本鱗翅学会

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