スマトラ島産キイチゴシジミSinthusa属の1新種

書誌事項

タイトル別名
  • A new species of genus Sinthusa (Lepidoptera, Lycaenidae) from Sumatra
  • スマトラ島産キイチゴシジミSinthusa属の1新種〔英文〕
  • スマトラトウサン キイチゴシジミ Sinthusaゾク ノ 1 シンシュ エイ

この論文をさがす

抄録

インドネシア・スマトラ島で得られたキイチゴシジミ属の1新種Sinthusa yagishitaiを記載した.本種はシロチョウ科Delias属の研究家である柳下昭氏が,スマトラ島南部Dempo山で集められたDeliasを中心とした標本の中から見出されたものである.本種の翅斑紋は同じ産地で得られるCelatoxia carna (カルナテンジクルリシジミ)やPtox corythus(コリトゥスシラユキルリシジミ)など,ルリシジミ類の♀に一見非常によく似ており,柳下氏によれば,三角紙に入った状態では一瞬シロシタセセリ類のようにも思えたという.しかし,写真のように後翅には尾状突起があり,♂には後翅表面第7脈基部上に特殊鱗の集まった丸い性斑と,前翅裏面後縁に黒い毛束の性標があって,長い触角や翅形,♂交尾器などをよく見れば,本種がヒイロシジミ族のキイチゴシジミ属(Sinthusa属)の一員であることは明らかである.性標を除けば本種の♂斑紋は♀とほぼ同様で,前翅表面黒色部は後縁部のわずかな淡青色鱗を除きまったく紫青色を現さず,代わりに♀と同じく大きな白斑を持ち,かろうじて後翅表面の後半部が微かな藤色の光沢を帯びる.♂♀ともに後翅はほとんど白く,裏面はキイチゴシジミの斑紋が肛角部の黒斑など一部を残して消失する.今回,幸いにもペアで得られたが,よくもこのような特徴的な種類がこれまで発見されずにいたものである.

収録刊行物

  • 蝶と蛾

    蝶と蛾 45 (1), 17-20, 1994

    日本鱗翅学会

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ