アナロジーによる理科教授法の開発とその展開 : 構成主義的学習論の興隆以降に着目して

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タイトル別名
  • The Development Process of Learning Science with Analogies : Since the Rise of Constructivism in Science Education
  • アナロジー ニ ヨル リカ キョウジュホウ ノ カイハツ ト ソノ テンカイ コウセイ シュギテキ ガクシュウロン ノ コウリュウ イコウ ニ チャクモク シテ

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抄録

<p>構成主義的学習論の興隆以降,教授方法の観点と学習方法の観点の双方から,アナロジーによる理科教授法が検討されてきた。教授方法としてのアナロジーについては,アナロジー導入手順の定型化が図られ,アナロジーの導入時機の一端が解明された。また,複数のアナロジーを導入する場合は,その内容選択と配列などが検討され,教授上の指針を与えるような一定の成果が得られたのであった。しかしながら,教師主導のアナロジーの導入では,アナロジーによる知識構成の能動的な側面が十分に発揮されていない,という認識が高まり,子ども自身によるアナロジーの生成をより重視する,という方向性が示されるようになっていた。一方,上述のような教授方法としてのアナロジー研究の動向以前より,子ども自身に事物・事象を説明させる,自己説明という学習ストラテジー研究の一端として,子どもによるアナロジー生成を意識的に活用することが注目されてきた。そこでは,アナロジーの活用は,生成・評価・修正という動的なサイクルとして捉えられ,社会的な相互作用の場面設定も検討されたのであった。その後,理科授業におけるアナロジーは,教授方法と学習方法という観点からの研究の流れを汲む一方で,科学論的な内容が正規の理科カリキュラムに組み込まれる,という国際的なカリキュラム改革の動向に影響を受けて,科学の方法としてのアナロジーへと拡張もしくは転換してきているのであった。このことは,アナロジーは,理科学習を促進する道具としてだけではなく,アナロジーの生成・活用やその性質が教育内容としても,位置付けられるようになってきたことを意味するのであった。</p>

収録刊行物

  • 理科教育学研究

    理科教育学研究 50 (3), 27-41, 2010-03-03

    一般社団法人 日本理科教育学会

被引用文献 (2)*注記

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参考文献 (118)*注記

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