臍ポリープ,臍肉芽腫の臨床像と鑑別診断

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タイトル別名
  • Clinical Features and Differential Diagnosis of Umbilical Polyp and Umbilical Granuloma
  • サイポリープ サイニクゲシュ ノ リンショウゾウ ト カンベツ シンダン

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抄録

【目的】臍肉芽腫は乳児期の日常疾患だが臍ポリープは稀で,両疾患の鑑別は困難とされている.臍ポリープ・臍肉芽腫の自験例及び臍ポリープの文献例からその臨床像,鑑別点を考察した.【方法】7年間に内科治療に抵抗性の臍腫瘤として紹介された78例に対し,性別・発見時年齢・紹介時年齢・症状・臍腫瘤の所見を検討した.加えて臍ポリープでは前医での治療・術前診断・手術時年齢・手術及び術所見・病理を,臍肉芽腫では,治療・治癒時年齢・治癒までの日数を検討した.臍ポリープの本邦報告53例も同項目で検討した.【結果】78例の内訳は臍ポリープ10例,臍ポリープ疑い3例,臍肉芽腫65例であった.いずれも男児優位であった.両疾患とも臍脱直後から腫瘤がみられた.臍肉芽腫は生後2か月以内に紹介され,治療に反応して生後3か月以内に治癒した.臍ポリープは長期間内科治療が続けられた後難治性にて紹介され,来院時年齢は平均2.2歳と高かった.腫瘤の肉眼所見は,臍肉芽腫が凹凸のある鈍い赤色であるのに対し,臍ポリープは平滑で鮮紅色であった.鑑別はこの肉眼所見から容易であり,新生児期にも可能であった.臍ポリープのうち9例は手術的切除で1例は結紮で治癒した.7例で腹腔内検索を行い腹腔内のバンドは認めなかった.臍ポリープの病理所見では腸粘膜はポリープ状の突出の表面に限局していた.【結論】臍ポリープは稀ではなく乳児早期のよくある疾患の一つである.生後3か月を過ぎても治らない臍肉芽腫は臍ポリープの可能性が高い.臍ポリープの鑑別は特徴的な鮮紅色の腫瘤像から容易で,新生児期でも可能である.初診時に鑑別して無効な内科治療を避けるべきである.

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