歯面コーティング材の色調安定性

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  • Color Stability of Tooth Coating Materials : Differences Induced by Various Finishing Procedures

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抄録

歯面コーティング材は,歯質を切削することなく短時間で歯の色調を改善することを目的に開発され,未切削エナメル質のほか金属面,変色したコンポジットレジンやレジン前装冠の前装部にも適応可能である.歯面コーティング材の耐用期間は,1〜3ヵ月とされている.そこで本研究では,現在市販されている2種類の歯面コーティング材を臨床的方法により仕上げた際の色調安定性について,長期臨床経過を想定した加速変色試験法によって評価した.実験に供した歯面コーティング材は,ビューティコート(松風)とホワイトコート(クラレメディカル)で,コンポジットレジンのクリアフィルAP-Xを,歯面コーティング材塗布面およびコントロールとして使用した.直径15mm,厚さ1mmのコンポジットレジンディスクに,ビューティコートのホワイトベースを臨床使用条件に従って塗布しグロスメーカーとグロスリファインで仕上げた標準仕上げ群,ホワイトベースを塗布・照射後,乾燥ガーゼで未重合層を除去し,グロスリファインを塗布し専用バフで研磨をした即日仕上げ群,ホワイトベースを塗布・照射後,グロスメーカーで被覆し,照射を行ったグロスメーカー群,ホワイトコートのベースコートをメーカー指示に従って塗布・光照射し未重合層を除去した後,トップコートで仕上げたホワイトコート群および未処理のAP-X群の5条件につき,3試料ずつ試料を作製した.ディスクの半側を遮光のためにアルミ箔で被覆し,ISO4049の色調安定性試験法に準拠して,キセノン耐光試験機(Suntest CPS+ Type X:45,Heraeus,Germany)に試料を設置し,37℃水中下24時間,150,000Lux±10%の光照射を行った.施術後の試料の測色は,分光式色彩計(Spectro Color Meter SE-2000,日本電色)で,グレー,白,黒の背景色におけるCIE L*a*b*を測定し,遮光側と露光側の色差ΔE*abおよびTP値を算出し,比較検討した.その結果,以下の結論を得た.1.露光側と遮光側の色差ΔE*abは,グロスメーカー群が4.29で最も大きい値を示し,ホワイトコート群が3.40,即日仕上げ群が3.20,標準仕上げ群が2.46であった.2.歯面コーティング材は,露光することにより黄色方向に変色する傾向を示した.3.即日仕上げ群において,露光後に透明性の変化が認められた.

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