左上大区支の閉塞を観察しえた膿胸関連リンパ腫の1例

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タイトル別名
  • A Case of Pyothorax-associated Lymphoma Occluding the Orifice of the Left Superior Segmental Bronchus

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抄録

背景.肺結核症に対する人工気胸術後20年以上経過した慢性膿胸患者では,約2%に悪性リンパ腫が発生することが知られ,膿胸関連リンパ腫と呼ばれている.膿胸壁での慢性炎症を背景として,リンパ球が腫瘍化し増殖し,腫瘤を形成すると考えられている.症例.77歳の男性.18〜21歳時に,肺結核症に対して,人工気胸術を施行された.咳嗽と37℃前後の発熱,胸部異常陰影にて,当院を受診した.胸部CTにて,慢性膿胸および膿胸壁より気管支に沿って数珠状に連なる陰影を認めた.気管支鏡検査にて,左上区支入口部を閉塞する白色粘液および黄白色の隆起性病変を認めた.同部の生検組織より,大細胞型B細胞リンパ腫と診断した.In situ hybridization法にてEpstein-Barr virus early ribonucleic acid(EBER)陽性であり,膿胸関連リンパ腫と確定診断した.R-CHOP療法を6コース施行し,完全寛解を得た.結論.本症例は,膿胸関連リンパ腫の気管支病変を観察しえた稀な症例であった.

収録刊行物

  • 気管支学

    気管支学 32 (6), 512-517, 2010

    特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会

参考文献 (8)*注記

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