屋久島のスギ天然林 : (2) 林分構造と更新過程

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タイトル別名
  • The Structure of Natural Sugi (Cryptomeria japonica) Forest in Yaku Island : (2) Forest Structure and Regeneration Process
  • ヤクシマ ノ スギ テンネンリン 2 リンブン コウゾウ ト コウシン カテイ

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抄録

屋久島において標高700m〜1600mに分布するスギ天然林は,ヤクスギと称される個体を混在して特異な林相を呈している。樹齢800年を越え,胸高直径は140cm以上,梢端部はほとんど折損もしくは枯損し,樹冠が傘型で,樹幹に"コブ"等があり,樹皮はおおむね灰色で光沢があり,滑らかでどっしりと落着いた風格を持っスギがヤクスギである。この特徴的なヤクスギを含むスギの一斉天然林は,我が国において非常に貴重な存在であり,数多くの研究が報告されている。しかし,現実の林分構造に関する研究は少なく,特に藩制時代(寛永年間から)にヤクスギを"平木"にして祖税として産出した事実は認められても,どの程度の伐採が行なわれ,それが現在のスギ天然林の構造にどの様に影響を与えてきたかは明確ではない。そこでヤクスギランドにおいて現存するスギ天然林の林分構造と残存する伐根によって過去に行なわれた伐採の状況と,伐採後の現在に至る更新の過程,伐採以前の原生林状態を推定した。これによって残存する老齢大径木のヤクスギの存在を特徴付けることは貴重な屋久島のスギ天然林を維持し,保続するために重要と考える。

収録刊行物

  • 森林立地

    森林立地 24 (1), 10-17, 1982

    森林立地学会

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