亜高山帯モミ属林における林分の発達と実生の定着の関係

書誌事項

タイトル別名
  • Relationship between stand development and establishment of seedlings in subalpine Abies forest
  • アコウザンタイ モミゾクリン ニ オケル リン ブン ノ ハッタツ ト ミショウ ノ テイチャク ノ カンケイ

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抄録

亜高山帯モミ属林における林分の発達とモミ属実生の定着の関係を明らかにするため,発達段階の異なるモミ属林において,群落構造,林床の相対照度およびモミ属実生の定着状況を調べた。林分の発達程度は,最大胸高直径および最大樹高を指標として決定した。立木密度は,もっとも発達した林分でもっとも低かった。もっとも発達した林分では,林床に定着しているモミ属実生の個体数密度が,他の林分よりも高く,林床の相対照度も,他の林分より高い傾向がみられた。さらに,もっとも発達した林分では,3〜10年生の実生の個体数密度が,他の林分よりも高かった。これらのことから,林分の発達にともなって立木密度が減少した林分では,林床に達する光量が多くなり,実生の定着が高い密度で起こるものと考えられた。モミ属実生の定着は,林床の相対照度が6%に達するとみられるようになり,それ以上の相対照度では,相対照度にともなって実生の個体数密度が増加した。林床の相対照度は,樹高1.3m以上の立木密度の減少にともなって増加し,立木密度6,000本ha^<-1>において,林床の相対照度が6%になることが確認された。以上のことから,林分の発達によって立木密度が6,000本ha^<-1>まで減少すると,林床の相対照度が6%に達し,実生が定着できるようになることが明らかにされた。

収録刊行物

  • 森林立地

    森林立地 52 (2), 79-86, 2010

    森林立地学会

参考文献 (27)*注記

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