浸潤性膀胱癌に対する放射線化学療法―治療成績と予後予測因子としてのBcl-2 family―

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タイトル別名
  • BLADDER PRESERVATION USING CHEMORADIATION THERAPY FOR LOCALLY INVASIVE BLADDER CANCER
  • シンジュンセイ ボウコウガン ニ タイスル ホウシャセン カガク リョウホウ チリョウ セイセキ ト ヨゴ ヨソク インシ ト シテ ノ Bcl 2 family

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抄録

(目的) 膀胱温存を目的とした局所浸潤性膀胱癌に対する放射線化学療法の治療成績,およびその予後予測因子について検討した.<br> (対象と方法) 2000年から2005年に住友病院泌尿器科で膀胱温存を目的に放射線化学療法を行った局所浸潤性膀胱癌患者32例(男性30例,女性2例,平均年齢68.1歳)を対象とした.病期はT2が13例,T3が16例,T4が3例であった.治療プロトコールとして,まず可能な限り経尿道的に腫瘍を切除した後,骨盤腔に46Gyを照射,同時にCisplatin 20mg/dayを1週目と4週目に5日間連続で経静脈的に計200mg投与した.効果判定はMRI,尿細胞診,経尿道的膀胱生検を行い,浸潤癌が認められない場合は膀胱を温存,浸潤癌が残存した場合は膀胱全摘術を行った.また初回手術で得られた病理標本で,腫瘍細胞のBcl-2,Bax,Bcl-xの発現を調べた.平均観察期間は54.6カ月であった.<br> (結果) 全症例の疾患特異的生存率は,3年,5年でそれぞれ84.0%,66.9%であった.近接効果として膀胱を温存できた症例は27例(84.4%)で,3年以上浸潤癌再発や遠隔転移なく膀胱を温存できたのは18例(56.3%)であった.Bcl-xが陽性であった症例は陰性例と比較し有意に予後不良であった.<br> (結論) 当科における放射線化学療法は,膀胱全摘術と比較し遜色のない良好な結果であった.Bcl-xの発現の有無は予後予測因子となりうる可能性が示唆された.<br>

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参考文献 (42)*注記

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