介護予防「口腔機能向上」プログラム対象者選定項目と歯科医療ニーズとの関連 : 要介護者を対象とした分析

  • 野口 有紀
    東北大学大学院歯学研究科国際歯科保健学分野
  • 相田 潤
    東北大学大学院歯学研究科国際歯科保健学分野
  • 丹田 奈緒子
    東北大学大学院歯学研究科予防歯科学分野
  • 伊藤 恵美
    東北大学大学院歯学研究科予防歯科学分野
  • 金高 弘恭
    東北大学特定領域研究推進支援センター
  • 小関 健由
    東北大学大学院歯学研究科予防歯科学分野
  • 小坂 健
    東北大学大学院歯学研究科国際歯科保健学分野

書誌事項

タイトル別名
  • Evaluating Enrollment Criteria for an Oral Functional Improvement Program and Dental Treatment Needs in the Elderly
  • カイゴ ヨボウ コウクウ キノウ コウジョウ プログラム タイショウシャ センテイ コウモク ト シカ イリョウ ニーズ ト ノ カンレン ヨウ カイゴシャ オ タイショウ ト シタ ブンセキ

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抄録

2006年より開始された介護予防事業の口腔機能向上プログラム対象者の選定は,基本チェックリスト等を用いて実施されている.高齢者では,う蝕や歯周疾患等があるにもかかわらず,歯科受診率はきわめて低いことが指摘されている.そこで,口腔機能向上プログラムで用いられている選定項目で歯科医療ニーズの把握ができるかを明らかにすることを本研究の目的とした.軽度の要介護高齢者に対して,基本チェックリスト口腔機能向上関連3項目,口腔内の衛生状態,反復唾液嚥下テストの選定項目を調査した.未処置のう蝕,CPIコード,義歯の補綴や調整の必要性の有無を歯科医療ニーズとして診査し,前述の選定項目との関連について解析を行った.分析対象者88名(男性36名,女性52名,平均年齢77.5±8.2歳)のうち,未処置のう蝕,CPIコード2以上,義歯の補綴や調整が必要のいずれかに該当する者は78.4%であった.歯科医療ニーズの有無を目的変数にしたロジスティック回帰分析で,基本チェックリストの水分でのむせの該当者は,歯科医療ニーズを有する者が多かった(調整後オッズ比9.9[95%CI:1.2,82.9]).しかし,歯科医療ニーズを有する者のうち水分でのむせの質問項目に該当する者は33.3%を占めるにすぎなかった.現行の選定項目で,歯科医療ニーズをすべて把握することは困難であった.介護予防口腔機能向上事業を行う際,歯科医療ニーズの把握方法の開発や歯科医療との連携の必要性が示唆された.

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参考文献 (20)*注記

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