わが国におけるベッドサイドの患者教育に関する変遷 : 近代看護のはじまりから現代まで

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  • History of Patient Education at the bedside in Japan : from the down of modern nursing to the present

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抄録

本研究の目的は、わが国の病棟看護師が展開する患者教育の成立と発展の変遷を明らかにし、ベッドサイドの患者教育の特徴および質の高い患者教育の実現に向けた課題を検討することである。Speziale等の歴史研究の方法(historical research method)を参考に、史料を看護六法、婦人雑誌、看護専門誌、看護基礎教育課程の教科書とし、患者教育をとらえる視点として看護制度、看護職養成教育、看護実践を設定し、近代看護の始まりから現代までを分析した。分析の結果は次の3点を示した。(1)患者教育は、法規上の空白を経た後、「保健婦助産婦看護婦法」成立とともに看護婦の規定業務に埋没し、法的位置づけを獲得できないまま現在に至る。(2)患者教育は、近代看護の草創期、教育内容に萌芽し、後退した後、第二次世界大戦後の看護改革を経て看護婦の役割として再起した。また、他学問領域の知識を導入したり、理論と実践を結びつけたりして拡大、進展するとともに、教育対象者尊重の潮流にある。(3)患者教育は、看護実践の中に潜在、復活した後、実践に定着し、工夫されて、その質や成果への注目が高まった。また、多様化し、さらに、患者教育と関連あるセルフケア概念、理論、モデルが普及して専門化、組織化した。考察の結果は、患者教育の成立と発展の特徴5点を示した。また、考察を通し、質の高い患者教育の実施に向けた課題3点が明らかになった。

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