小児外鼠径ヘルニア対側発症症例の統計的考察 : エビデンスに基づいた医療を提供するために

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タイトル別名
  • The Statistical Analysis of Inguinal Hernia in Children : For Evidence Based Medicine
  • ショウニ ガイ ソケイ ヘルニア タイソク ハッショウ ショウレイ ノ トウケイテキ コウサツ エビデンス ニ モトズイタ イリョウ オ テイキョウ スル タメニ

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抄録

【目的】小児外鼠径ヘルニアに関する対側発症症例を中心とした統計学的検討から,対側発症の危険因子を抽出し,対側発症の危険度をスコア化によって評価する方法を考案することを目的とした.【対象と方法】平成13年4月から5年間に経験した小児外鼠径ヘルニア手術症例662例を対象とし,対側発症症例を中心に,性別,初回手術時年齢,患側,出生体重,初回片側発症から対側発症までの期間について調査し,後方視的に統計学的検討を行った.【結果】全症例における男女比は1.3:1で,手術時年齢は1歳未満が30.2%で最も多かった.患側は右側が52.7%,左側が40.2%,両側は7.1%であり,男児で右側,女児で左側に多かった.片側手術症例における対側発症率は8.8%で,1歳未満が38.9%で最も多く,女児の初回手術側が左側である症例の対側発症率が11.4%で最も高かった.対側発症までの期間は,対側発症症例全例では1年以内が53.7%であったのに対し,低出生体重児例のみでは77.0%と有意差がみられた.対側発症症例および両側手術症例について,片側手術のみの症例と比較すると,低年齢および低出生体重児例の割合が有意に高かった.【結論】対側発症症例および両側症例における臨床的特徴は,これまでの報告と同様の傾向であった.片側手術のみの症例との検定結果より,年齢および出生体重において有意差がみられた.われわれは今回の結果を基に,対側発症の危険度をスコア化によって評価する方法を考案した.現在,これを運用し対側発症の予知・対策について前方視的調査に取り組んでいる.

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