S-PRGフィラーのHeLa細胞に対する細胞毒性

  • 伊藤 範明
    朝日大学歯学部口腔病態医療学講座口腔病理学分野
  • 森川 貴史
    朝日大学歯学部口腔機能修復学講座歯科保存学分野歯冠修復学
  • 小竹 宏朋
    朝日大学歯学部口腔機能修復学講座歯科保存学分野歯冠修復学
  • 堀田 正人
    朝日大学歯学部口腔機能修復学講座歯科保存学分野歯冠修復学

書誌事項

タイトル別名
  • Cytotoxicity of HeLa Cells Cultured on S-PRG Filler

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抄録

酸反応性フルオロアルミノシリケートガラス(S-PRG)フィラーは,接着性修復材料として開発され用いられている.S-PRGフィラーは,二次齲蝕の抑制に効果があるとされているが,その生体親和性については不明な点が多い.本研究では,S-PRGフィラーから細胞培養液中に溶出するイオンのHeLa細胞に対する毒性について検討した.S-PRGフィラー(粒径3μm)0.2gに対して20mlの蒸留水または細胞培養液に浸漬した.S-PRGフィラーから溶出するイオン(F,Al3+,Na,BO33-,SiO32-,Sr2+)の溶出量を,Al3+,Na,BO33-,SiO32-,Sr2+についてはICP発光分析装置を用いて元素量として,Fについてはイオンメーターおよびフッ素イオン用複合電極を用いてイオン量として測定した.S-PRGフィラーの毒性については,対照群との比較によるHeLa細胞のCell viabilityにより評価した.5×104個/mlに調整した細胞混濁液を用い,Cell viabilityは24時間後にCell Counting Kit 8を用いて行った.その結果,S-PRGフィラーから溶出する各種イオンは,蒸留水と細胞培養液との間に有意差(t-test,p<0.05)を認めた.S-PRGフィラーの溶出液での細胞活性度は,対照群と比較して約20%程度有意(Scheffe's test,p<0.05)に低下していたが,10%希釈した溶出液では対照群と同程度のCell viabilityであった.これらのことから,S-PRGフィラーから細胞培養液中にF,Al3+,Na,BO33-,SiO32-,Sr2+が溶出したが,S-PRGフィラーの毒性はきわめて低いことが示唆された.

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参考文献 (27)*注記

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