第6回東京女子医科大学メンタルヘルス研究会(平成23年6月23日)

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抄録

症例は23歳男性。6歳で肥大型心筋症の診断。22歳まで症状なく経過。,2008年12月初回心不全発症。CTR67% BNP1000。近医にて利尿剤、β遮断薬、,ARB阻害薬アミオダロン導入された。著明な心拡大とEF11%と高度低心機能低下を認めた。当院紹介入院となり精査の結果、肥大型心筋症拡張相の診断となった。2009年1月CRTD植え込み施行。BNPは258まで改善した。また他院で中学生のころからうつ病との診断でソラナックス1.6mgとアナフラニール20mgが処方されていたが、循環器系への副作用も考慮しリエゾンコンサルト。3環系抗うつ薬のみ中止し、ソラナックス内服で経過観察となり、心不全も安定したため退院となった。その後NYHA IIで経過。CRTD作動なし。2009年6月貧血進行と腎機能悪化で入院。保存加療で改善し退院となったが、この再入院を契機に健康に対する不安が増強し、同年11月に精神科再コンサルトとなった。特定不能の広汎性発達障害を基盤とした不適応と診断された。認知行動療法を導入する一方で、過剰な食事制限や行動制限などの強迫的傾向の緩和目的でSSRI(sertraline 25mg)開始となった。11月50mgに増量。その後精神症状は改善傾向にあり現在通院加療継続している。本例は若年性で高度心機能低下があり、循環器疾患による身体制約も多い。CRTD植え込み例であり心理的負荷のリスク要因が多いと考えられた。このようなケースでは循環器治療と並行して心理的問題の抽出が重要であり,認知行動療法やSSRIなどの薬物療法の検討も必要であると考えられた。,

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1571135652034694144
  • NII論文ID
    110008672492
  • NII書誌ID
    AN00161368
  • ISSN
    00409022
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • CiNii Articles

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