後腹膜軟部肉腫の臨床病理学的検討

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  • CLINICOPATHOLOGICAL STUDY OF RETROPERITONEAL SARCOMA
  • コウフクマクナンブ ニクシュ ノ リンショウ ビョウリガクテキ ケントウ

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抄録

(目的) 後腹膜に発生した軟部肉腫を有する患者の臨床背景,摘出標本の病理組織学的所見,術後再発様式,無再発生存率をretrospectiveに検討する.<br> (対象) 2003年6月から2010年5月までに,摘出手術を行った後腹膜軟部肉腫10例を対象とした.10例のうち1例は,開腹時播種結節を認め試験開腹にとどまったため評価対象から除外した.患者の臨床背景,病理組織学的所見,摘出標本の顕微鏡的切除断端,再発様式(局所再発か遠隔転移か)を検討した.また,無再発生存率をKaplan-Meier法を用いて評価した.<br> (結果) 患者9例は,年齢の中央値が60歳で,男性7例,女性2例であった.腫瘍サイズの中央値は10.0cm(2.7~45cm)で,病理組織学的には脱分化型脂肪肉腫が7例,平滑筋肉腫が2例であった.9例中8例において隣接臓器の合併切除も同時に行った.術後,局所再発を5例に認め,遠隔転移が局所再発よりも先に発見された症例はなかった.手術から局所再発までの中央値は13カ月(3~27カ月)で,手術から死亡までの中央値は30カ月(5~78カ月)であった.<br> (結語) 十分な切除断端を確保すべく隣接臓器の合併切除も積極的に実施したが,後腹膜に発生した軟部肉腫の局所再発率は高かった.手術単独治療での局所再発率が高いことを認識し,化学療法および放射線治療を併用した集学的治療法の確立が望まれる.<br>

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参考文献 (23)*注記

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