矯正患者の顎関節症状の有症者と無症者における行動因子や精神的因子に関するアンケート調査

DOI

書誌事項

タイトル別名
  • Questionnaire survey on behavioral and mental factors of orthodontic patients with and without TMD signs and symptoms

抄録

本研究の目的は,北海道大学歯学部附属病院矯正科に来院した患者を対象に,顎関節症状と行動因子・精神的因子との関連性について検討することである。調査対象は,1992年7月から1996年3月の間に来院した患者のうち,顎関節に関する初診時の顎機能診査表とアンケート調査表が揃った初診時年齢15歳以上の患者で、下記の3群のいずれかに属する208名(男性68名,女性140名,平均年齢23歳7ヵ月)とした。抽出条件は(1)NS群:顎関節症状の既往と現症がともに認められなかった群(59名),(2)SNT群:顎関節症状の既往と現症がともに認められ,矯正治療開始前に顎関節症に対する治療を行っていない群(98名),(3)ST群:矯正治療開始前に顎関節症に対する治療を行った群(51名)である。また,外科的咬合改善術を施行された者を除く164名に対して,1998年5月に追跡調査を行い,93名(NS群17名,SNT群47名,ST群29名)の回答を得た。その結果,以下の見解を得た。1.各群の年齢分布は,増齢的にNS群が減少していたのに対しSNT群では増加しており,ST群では差を認めなかった。2.矯正科初診時の顎関節症状の内訳は,3症状とも認められた者が最も多く,SNT群で48.0%,ST群で90.2%であった。3.追跡調査時の顎関節症状に対する自己評価は,SNT群,ST群とも矯正治療開始後に症状が「悪くなった」と意識していた者はほとんど認められなかった。また,SNT群では関節雑音が残存する割合が多かった。4.関連因子についてのアンケート結果から,行動因子に関する「大きい物,硬い物を咬めるか」「片側咀嚼」「歯ぎしり」「くいしばり」「頬づえ」「うつ伏せ寝」の6項目,精神的因子に関する「不安感,心配性」の項目の計7項目で顎関節症の発症との関連性が示唆された。

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390282680726186752
  • NII論文ID
    110008699012
  • DOI
    10.20760/dokyo.26.1_31
  • ISSN
    24326747
    0916202X
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

問題の指摘

ページトップへ